腎移植とは
腎臓の機能が低下した人に、あらたに腎臓を移植する手術を行って腎不全の治療を行う方法です。
どんな人が腎移植を受けるのでしょうか
血液透析・腹膜透析をしている患者さん
透析未導入であるが、末期腎不全の患者さん
が腎移植の対象となります。
腎移植にはどんな種類があるのでしょうか
腎移植には、生体腎移植、献腎移植 の2通りの方法があります。
移植手術までの期間や準備内容に大きな違いがありますが、腎移植の手術や手術後の腎移植治療はほとんど同じです。自分の腎臓は、特別な場合を除いて摘出はしません。
手術についてのくわしい説明はこちらをご覧ください。
生体腎移植
健康なあなたの家族に腎提供者となっていただき、十分な準備や検査を行った後に、2つある腎臓のうち1つを手術で摘出し、その腎臓をいただいて移植を受ける治療法です。提供者となる方はあなたの親族と姻族の一部の方で、原則的には親子・兄弟・祖父母・夫婦などが対象となります。(死後に臓器を提供する献腎移植の提供とはまったく別のもので、提供者となる方は元気に日常生活を送っている人になります)
成人で重症の持病がなく、御家族に対して腎臓を提供したいと考えておられる人は、誰でも腎臓を提供できる可能性があります。血液型が同じでない場合でも(例:提供者がA型→受者がB型)移植は可能です。通常は片側の腎臓を提供しても日常生活や仕事はこれまでと変わりなく続けることができます。しかし、2個の腎臓が1個になるわけですから、残った腎臓を大事にすることが重要になります。
生体腎移植の腎提供についてくわしい説明は、こちらをご覧ください。
献腎移植
献腎移植とは、亡くなられた方から腎臓を提供していただく移植のことです。献腎移植を希望される場合には、日本臓器移植ネットワークにあらかじめ登録して待機する必要があります。
亡くなった方から臓器を提供していただくために、臓器移植に関する法律に基づいた厳格な規則があります。その規則を守ったうえで、提供される御本人や御遺族の方の「臓器提供してもよいという意思」が確認され、同意をいただいた場合にのみ提供していただく事が可能となります。せっかくいただいた腎臓が十分な機能を発揮することが重要ですので、どなたでも提供できるわけではなく、腎臓病や腎臓の機能低下がない方が提供者となります。
腎移植について
腎移植の長所と透析治療とのちがい
腎機能が低下した場合の治療法には、透析療法と腎移植があります。
透析療法には血液透析と腹膜透析がありますが、どちらも腎機能の一部しか代償できないため、健康な状態にはなりません。時間的制約が大きいことも問題になっています。一方、腎移植後の腎機能は日常生活に支障のない程度まで回復し、時間に縛られることもなく、食事や水分の制限も大幅に緩和されます。
詳しい説明はこちらをご覧ください。
腎移植の欠点
腎移植にも合併症と副作用があります。
まず、拒絶反応が起こる可能性があり、強い拒絶反応が起こった場合には移植腎の機能が失われるために透析療法を再開しなければならなくなります。また、拒絶反応を予防するために免疫抑制剤を飲み続ける必要があり、その免疫抑制剤による色々な副作用が発生する可能性があります。
詳しい説明はこちらをご覧ください。
拒絶反応と免疫抑制剤
移植された腎臓はご家族から提供されたものであっても厳密にいうと他人のものなので、体に侵入した異物(細菌やウイルスなど)を排除する免疫というシステムが働きます。これを拒絶反応といいます。
拒絶反応が起こってしまうとせっかく移植した腎臓が機能しなくなってしまうため、免疫抑制剤で拒絶反応を抑えるわけです。そのため、移植腎が機能している間は、免疫抑制剤を内服する必要があります。
移植した腎臓は何年持つのか?
腎移植をした後に不幸にも拒絶反応によって機能しなくなってしまう場合があります。
しかし、最近では新しい免疫抑制剤が開発され拒絶反応の治療法が改善されているので、以前と比較すると腎臓は非常に長持ちするようになってきており、移植してから5年以上機能している人の割合は約90%を超えています。もちろんそれ以上長く腎臓が働いている人もたくさんいますし、30年以上機能している人もいます。
最近では腎移植を受けて最初の1年間順調に経過した場合、移植腎は平均で約18年間もつ、というデータも出ています。
兵庫医科大学で実施されている腎移植の内容
兵庫医科大学では1983年から生体腎移植・献腎移植の治療を実施しています。2022年4月までに430名の患者さんの腎移植を実施しました。現在使用されている免疫抑制剤が使用され始めた2000年以後の腎移植成績はそれ以前と比較してかなり向上しており、移植を受けて5年後の腎生着率(移植した腎臓が働いており、透析に戻っていない患者さんの比率)は93%、10年腎生着率は84%となっています。
どのような患者さんが兵庫医大で治療を受けているのか
兵庫医科大学では、血液型不適合腎移植、小児腎移植、夫婦間移植など、ハイリスクの患者さんの腎移植にも積極的に取り組んでいます。
幸いにも、当科で腎移植を受けられた血液型不適合腎移植の患者さん、夫婦間腎移植の患者さんは現在のところ全員の方が移植腎が生着し、お元気にされています。 また、腎移植を受けられた最も幼い患者さんは2歳未満で、腎機能は良好でお元気にされています。 兵庫医科大学での腎移植治療には、私達泌尿器科に加えて腎臓内科、小児科、集中治療部、麻酔科、循環器をはじめとする専門内科、外科、精神科、眼科等の医師、ソーシャルワーカー、看護師、薬剤師、移植コーディネーターが協力してチーム医療にあたっています。
腎移植について説明を聞きたい場合
質問や相談には腎移植担当の泌尿器科の医師・看護師のほか、ソーシャルワーカーができる限り詳しく、時間をかけてお答えいたします。初回の場合にはパンフレットをお渡しし、通常は30分~1時間かけて説明します。電話で「腎移植の相談」とお伝えの上、ご予約ください。
問い合わせ
兵庫医科大学 泌尿器科外来
TEL. 0798-45-6230
(直通)予約時間 月曜~金曜 15:00~16:30
午前中は診察で込み合いますので、診察予約は上記の時間にお電話ください。