主な疾患 Common Disease

尿路結石

尿路結石とは

尿の通り道にできた結石の総称を尿路結石といい、その場所により次のように言われます。

  • 腎結石
  • 尿管結石
  • 膀胱結石
  • 尿道結石

原因としては下記の事柄が挙げられますが、多くの場合は原因不明で、日常生活や食生活が影響する生活習慣病と考えられています。

  • 薬剤・代謝やホルモンの異常
  • 尿路感染
  • 長期臥床

男女比は男性にやや多く、男性では約7人に1人、女性では約15人に1人が一生のうちに一度は罹患するといわれています。

結石の成分には、シュウ酸カルシウム・リン酸カルシウム・リン酸マグネシウムアンモニウム・尿酸・シスチンなどがありますが、80%以上の結石がシュウ酸カルシウム又はリン酸カルシウムなどのカルシウム結石です。

尿路結石の症状

尿路結石は無症状なこともありますが、たとえば結石が尿管につまって急激に水腎症が起こると、背部に突然の激痛をきたします。痛みは結石の場所により、背部から側腹部、下腹部へと変化することもあり、結石が膀胱近くまで移動すると頻尿、残尿感などの膀胱刺激症状をきたす場合があります。また膀胱結石の場合には、膿尿・排尿時痛・排尿困難感を認めることがあります。尿の流れが妨げられると、腎に尿がたまってしまう水腎症という状態を引き起こします。水腎症の状態が長く続くと痛みはおさまってきますが、そのまま長期間放置することで徐々に腎臓の機能が低下する恐れがあります。

尿路結石の診断

尿路結石の診断では次のような検査を行い、結石の場所・大きさ・水腎症の有無を確認します。

  • 尿検査
  • 腹部超音波検査
  • 腹部単純レントゲン検査
  • 尿路造影検査
  • CT検査

結石の中にはレントゲンで写らない種類もあるので、ときには造影剤をつかっての尿路造影検査やCT検査で、結石の位置と大きさや尿路の状態を詳しく見ます。

尿路結石の治療

個人差はありますが、一般に結石の大きさが1cm以下のものは自然排石が期待されます。結石の自然排石率は長径と逆相関しており、おおよそ以下の排石率と報告されております。

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直径 1mm 2-4mm 5-7mm 8mm以上
自然排石率 87% 76% 60% 39%

自然に排石するため、痛み止めを使用しながら水分摂取を2L以上摂取し、排石を促します。

また、尿酸結石とシスチン結石は薬で溶かす事もできます。自然排石が期待できない場合や、症状出現後1ヶ月経過しても自然排石しない場合には、以下のような治療を選択します。

体外衝撃波砕石術(ESWL)

体外衝撃波砕石術は、レントゲンまたは超音波で結石に焦点を合わせて体外から衝撃波エネルギーを照射し結石を砕石する治療法です。施設によっては日帰りで治療できることがメリットですが、砕石率はおおむね70%程度となります。当科では、2013年9月以降ESWLを中止させていただいております。ESWLにつきましては関連病院を紹介させていただいておりますのでご了承ください。

経尿道的尿管砕石術(TUL)

自然排石が困難な場合や、ESWLで砕石できない場合に適応とされてきました。しかし近年内視鏡の細径化や技術の進歩により、安全かつ確実に結石砕石が可能となり、ESWLよりTULが選択されることが多くなっております。内視鏡を尿道から膀胱を通って尿管の中まで挿入し、レーザーや特殊な機械で結石を直接砕石します。下半身麻酔や全身麻酔が必要で、手術室で行います。通常は4−7日程度の入院が必要となります。

経皮的腎砕石術(PNL)

背中から腎臓に穴を開け、その穴から直接内視鏡を挿入して腎結石を砕石する方法です。全身麻酔が必要で、手術室で行ないます。通常は20mm以上の結石や経尿道的操作が困難な下腎杯結石に適応となります。大きい結石は今まで複数回の治療が必要でしたが、近年ECIRS(Endoscopic Combined Intra Renal Surgery)と言われる、TULとPNLを組み合わせた手術手技も確立しており、大きな結石も1回の手術で完全砕石可能な場合があります。

膀胱結石砕石術

尿道から膀胱へ内視鏡を入れて膀胱の中で結石を砕石する方法です。下半身麻酔が必要で、手術室で行ないます。

腎尿管切石術開腹手術

直接結石を取り出す方法です。現在では非常に少なくなっていますが、上記の内視鏡を使った方法でも治療が困難な場合に行なうことがあります。

尿路結石の予防

尿路結石は再発が多い病気で、4年以内に約半数の方が再発するといわれています。早期発見・治療のために定期的な検診が重要です。再発予防には、尿量を保つための水分摂取と食事療法が大切です。

水分摂取は一般に食事以外で1.5リットルから2リットルが目安とされますが、体格や体調にあわせて調整してください。糖分の多い物・コーヒー・紅茶・ビール等は避け、水やお茶(ほうじ茶・麦茶・ウーロン茶等)で補給するようにしましょう。

食事は3食をバランスよくとる事が大事です。夕食から就寝までは4時間程度あける事が薦められています。

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