診療
次のような診療を行っています。
小児
尿路性器の形成異常に関しては全国有数の伝統があり、複雑な最重症例まで含めてあらゆる小児泌尿器科疾患に対応することが可能です。小児期の疾患の多くで成人期に治療が持ち越されることがありますが、総合病院の特徴を活かした生涯にわたるケアを行っています。性分化疾患についての新生児期の性別判定・決定をふくめた外科的治療から成人期まで治療が可能です。尿道下裂は初代生駒教授時代からの手術治療の歴史があり、これまでに1000例以上の症例を治療しています。現在は生後6ヶ月以降をめどに専門チームによる修復術を施行しています。また、成人後の尿道狭窄などへの対処については国内有数の経験があります。停留精巣は生後6ヶ月以降から短期入院で手術療法治療をしています。非触知精巣については腹腔鏡検査手術を活用して、可能な限り一期的に低侵襲に問題を解決しています。小児精索静脈瘤についても適応を選んで手術治療を行っています。尿路系の先天性疾患については、先天性水腎症の出生前、出生後の治療方針決定、膀胱尿管逆流症の保存的および外科的治療などについては標準的治療を行っております。年長児から成人ではロボット支援下手術などの腹腔鏡手術を優先しています。
排尿障害・尿道再建
成人の尿道再建を本格的に開始したのは比較的最近ですが、尿道狭窄症、尿道断裂をはじめ男性の重度尿失禁に対する人工尿道括約筋埋込や尿道直腸ろう、尿道直腸ろうなど複雑な最重症例まで含めてあらゆる尿道再建に対応しております。西日本の中心施設となっています。代表的疾患は尿道外傷、医原性尿道狭窄、尿道下裂術後形成尿道狭窄、放射線照射後尿道狭窄などです。狭窄の種類や程度に応じて尿道吻合や口腔粘膜利用手術を施行しています。
腫瘍
現在、副腎、腎、腎盂尿管の腫瘍に対しては原則的に体腔鏡下手術を行っています。術前カンファレンスで3次元CTを詳細に検討することによって、より安全で判りやすい手術が可能です。前立腺がんには手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使用した、体への負担が少ない手術を行っています。放射線科と連携し、放射線外照射や小線源療法も行っています。膀胱がんの治療にも体腔鏡下手術も導入しています。放射線科との共同でのポートを留置した抗がん剤動脈注入による膀胱温存療法にも対応しています。化学療法についても免疫チェックポイント阻害薬など新しい治療法を逐次導入しており、患者さんの状態に合わせて集学的に治療しています。
腎移植
1983年以後2022年4月までに430例(生体腎移植307例、献腎移植123例)の腎移植を実施し、2021年は年間18例(生体腎移植14例、献腎移植4例)を実施しています。血液型不適合、夫婦間移植、小児腎移植などの腎移植にも積極的に取り組んでいます。腎移植後の成績は、移植腎の生着率は5年で95%、10年で84%、患者生存率は10年で90%と良好です。また20年以上の長期生着患者さんも47名と増加し、最長生着患者さんは移植後39年目を迎えており、良好な成績を上げています。
アンドロロジー
当講座では、男性不妊と男性機能障害というアンドロロジーの2大領域をともに診療しています。開設当初より、当院産婦人科との共同による不妊治療の男性側治療に積極的に取り組んできました。精索静脈瘤の手術や閉塞性無精子症に対する精路再建術に代表されるように、可能な限り自然妊娠を目標に治療しています。もちろん、状況に応じて顕微受精などの補助生殖医療との連携で60例以上の精巣内精子採取術(TESE)などの採精術を積極的に行っています。性機能障害ではEDや射精障害を専門外来で診療しています。最近では、LOH症候群(男性更年期障害)と言われる患者さんへのホルモン補充療法なども行っています。
結石
ESWLは2013年9月以降中止しています。また結石砕石術も当院では基本的に施行しておらず、ESWL、結石砕石術については関連施設を紹介させていただいております。ご了承ください。
女性泌尿器科
近年、女性骨盤底医学会が開設されたことに代表されるように、この分野の潜在患者が非常に多いことが判ってきました。特に腹圧性尿失禁は一説では女性3人に1人が経験したことがあるともいわれており、これに対する医療側の対応は不可欠といえます。当院では女性泌尿器科手術は施行しておらず、近隣施設へご紹介させていただいております。ご了承ください。